1.背景と課題
今回のテーマは、電源のない環境で、「RTR500Bシリーズ」のモバイルベースステーション「RTR500BM」を使えるようにすることです。
きっかけは、弊社のデータロガー「おんどとり」をご利用のユーザ様から、「事務所から遠く離れた農場において、現場に足を運ばずに地温を確認できるようにしたい」というご相談をいただいたことでした。
こうした背景から、スマートフォンを使って場所を問わず状況を把握したいというニーズも考えられます。
この課題は、弊社のRTR500Bシリーズで解決できます。
農場の地温をRTR502Bで測定・記録し、そのデータをRTR500BMのモバイル通信を通じてクラウドサービス「おんどとり Web Storage」へ送信することで、場所を問わず測定値を確認できるようになります。
しかし一方で、現場にはAC電源がないという課題がありました。
そこで私たちは、太陽光パネルを用いて現地で電源を確保する方法を選びました。
2.どんな部材が必要なのか
まずは、RTR500BMを動かすのにどれくらいの電力が必要なのかを確認します。
RTR500BMを外部電源で使用した場合の消費電力の概算は、平均すると約430mWでした。
これに基づき、一日に必要な電力量を計算すると以下の通りとなります。
430mW × 24h = 10.32Wh/day
※上記は、子機三台を中継機は使用せず、10分間隔の現在値送信、2時間毎に記録データ送信する条件で試算しました。
太陽光パネルの発電目標は、この必要電力量をクリアするだけでなく、夜間や悪天候に備える余裕を持たせることにしました。具体的には、発電量の半分をRTR500BMの動作に充て、残りの半分を夜間や雨天が続いた場合に備え二次電池へのチャージに回すと考え、20Wh/dayの発電を目標値としました。
この目標を達成するために、12V 8W出力の太陽光パネルを選定しました。
有効日照時間を冬場の1日2.5時間と厳しめに仮定しても、一日あたり 8W × 2.5h = 20Wh/day の発電量が見込めます 。
次に二次電池です。天候不良が3日間続いてもシステムが稼働できるよう、12V 3Ah (36Wh) の容量を持つものを選びました。
これにより「3日間の晴天で満充電になり、その後の3日間の雨天にも耐えられる」という目論見です。 今回は、発火リスクが低い密封型鉛蓄電池を使用しました。
二次電池は、十分な余裕を持たせた容量のものを使用しましたが、太陽光パネルは多少の曇りや雨でも発電するため、容量の少ない 12V 1.2Ah (14.4Wh) のものでも実用になるか、付け替えて確認しました。
また、太陽光パネルと二次電池の間には、充電コントローラをいれました。
充電コントローラは、二次電池が満充電になると充電電流と電圧を制限し、過充電による二次電池へのダメージを防止する働きをします。
上記の方針に基づき、以下の部材を調達しました。
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部品
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型番
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参考価格(税込)[円]
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参考入手先例
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太陽光パネル
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YMT ENERGY
MSP8W 12V
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3,950
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Amazon
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二次電池
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LONG
密封型鉛蓄電池 WP3-12
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2,900
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Amazon
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LONG
密封型鉛蓄電池 WP1.2-12
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2,050
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Amazon
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充電コントローラ
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Phocos AG
ソーラー充電コントローラ CM04-2.1
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3,280
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秋月電子
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ケース
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未来工業
ウオルボックス CWB-12AJ
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4,026
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タロトデンキ
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電源ケーブル
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T&D
バッテリ接続用アダプタ BC-0204
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4,400
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T&Dオンラインショップ
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壁面アタッチメント
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T&D
壁面アタッチメント TR-5GK1
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4,400
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T&Dオンラインショップ
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3.組み立ては簡単
部材が揃ったら下記のように配線するだけです。
充電コントローラ(CM04-2.1)には、2つの端子があります。
・左側の端子に太陽光パネルを接続
・右側に二次電池とRTR500BMを接続
電線の接続は、端子のネジをドライバーで締め付けます。
二次電池の接続は、電池に付属していた端子を使って脱着が可能です。
4.設置状況
太陽光パネルを設置する場合、真南で傾斜角度が20〜30度が良いとされています。
この辺りは実際の設置場所によりますが、最低でも北向きは避け、建物等の陰になりにくい日射時間の多い場所を選ぶと良いです。
今回設置した農地では、ケースに収めたRTR500BMと太陽光パネル以外の部材は、農地脇のビニールハウスに固定しました。
また、太陽光パネルは、ビニールハウス内からケーブルを引き回し、ビニールハウスの南側に設置しました。
5.発電状況
実際にシステムを稼働させた際の、太陽光パネルの電圧・電流および二次電池の電圧の状況について説明します。
なお、本データは農地での設置ではなく、弊社社屋のテラスにて実験的に設置した環境で使用した状況です。
設置場所は、太陽光パネルが午前9時頃までは建物の陰になる条件でした。
測定日は5月中旬です。
下記の図のように太陽光パネルの電圧・電流、二次電池の電圧、RTR500BMの消費電流などを測定しました。
①充電電流
➁太陽光パネル出力電圧
➂二次電池電圧
④RTR500BM消費電流
実験で設置した場所は、9時を過ぎると発電量が急増し、約5.2W(14.5V×360mA)に増加します。この電力により、夜間のRTR500BMの動作で12.5V程度まで低下した二次電池への充電が開始されます。
充電コントローラは、二次電池の電圧が13.7Vを超えると、過充電を防止する「フロート充電」に切り替わります。フロート充電が始まったことで充電電流が低下している様子がグラフから確認できます。
太陽光パネルの発電量は16時30分過ぎから低下し始め、18時30分ごろに完全に停止しました。その後は、翌朝に再び発電が始まるまで二次電池の電力でRTR500BMは動作を続けました。
【二次電池 3Ah 12V】
容量の小さい 1.2Ah の二次電池で試した場合、3Ahの二次電池に比べて夜間の電圧低下は若干大きく、12.2V程度まで下がりましたが、密封型鉛蓄電池の放電の限界電圧は10.5V程度なので十分余裕はありました。
【二次電池 1.2Ah 12V】
6.最後に
このように、太陽光パネルと二次電池を組み合わせることで、AC100V電源の取れない場所でもクラウドサービスにデータを送信できるようになりました。